孤独になりたい時の思い出
今まで、私は心の穴を埋めてもらうために、恋愛をしていたように思う。
だから、上手くいかないたびに、一人で立てない自分に戻ることで余計に苦しんだ。
昨年の夏、私の心の穴の形をピッタリと埋めてくれる人と恋愛をした。
その人の発する一言ひとことが、心に染みた。
今までと変わらないはずなのに、世界が優しくて、明るい光に包まれた。
晴れて気持ちが良いこと、台風が来て外に出れないこと、秋の訪れを感じる空気、そんな何でもない日常を好きになった。
私の心の奥底から求めているものをくれた初めての人だった。
でもそれは、私にとっての居心地で、彼にとっての居心地ではなかったのでしょう。
夏の終わりとともに、その関係は終わった。
それから1年。
その人が居ないことに、毎日毎日苦しんだ。
辛い時、その人に貰った言葉を思い出して、その辛さを凌いだ。
そうこうしているうちに、1人で立てるようになった。仕事もできてるし、本心から好きな友達に自分から遊んでもらったり、頼れるようになった。辛くても貰った言葉が、世界の見え方が、思い出が、私を助けてくれた。
今、それまでの世界が全て変わろうとしている。
彼に守ってもらった仕事を手放し、家も手放し、母親からの呪縛からも距離を取っている。
でも、今の私には、私を愛してくれる、愛する人がいる。
きっとその人とこれからの人生を共にするのだと思う。
その人と居ても、自分1人で居た時と、生活は何ら変わらない。
変わらないけれど、生まれてからずっと感じられなかった安心感を、初めて感じられている。
だからこそ、自分1人で居るときと変わらない生活が送れるのだと思う。自分を大事にできるのだと思う。初めて、自立できたのだと思う。
自立した私は時々、一人になりたくなる。
今私の隣に居てくれる人を忘れて、何処か一人になれる場所に行きたくなる。
そういう時、昨年終わった彼との思い出は、一人になる場所を与えてくれる。
それはわたしの中で永遠に色褪せずにそこにあって、私を一人にさせてくれる。
生きてきた中で辛い思い出が多かった私に、心の居場所をくれた。
今隣に居なくても、その人がくれたものは私の中に永遠と残るのだ。
生きていて良かった。私の宝物。