ジョバンニとねこ

繊細すぎてあまりわかってもらえない心を吐き出す場所。

初めて嘘をついた日

小さい頃から少食だった。

小学一年生になって、学校の給食を全部食べることが私には難しかった。

 

母は、毎日私に給食は食べられたか?と聞いた。

私は、毎日少しずつ食べられるようになっている、と言った。

それは事実だった。

 

入学して1週間経って、母はまた同じことを私に聞いた。

食べられる量は頭打ちになっていた。

けれど、私は、今日は全部食べられたよ、と言った。

 

母は、喜んでいた。

私はそれで良いと思った。

 

家庭訪問があり、先生が家に来た。

先生は、母に私が給食を全部食べられていないことを告げた。

 

母は怒った。

全部食べられていないこと、嘘をついたこと。

 

このままの私は受け入れられないのだ、と思った。

 

そこから、私は自分を頼るようになった。

部活の遠征で泊まるとき、周りの子は、ホームシックになって親に電話したりメールしたりしていた。

 

私は、全く親に連絡する気にならなかった。

1人で考える時間があることに、少しホッとした。

それと同時に、とんでもなく不安だった。

急に気持ち悪くなって、冷や汗が止まらなくて、息が苦しくて、泣きたくなった。

気づいてくれた友達は、眠るまで隣にいてくれた。

でも、私は親に連絡しようと思わなかった。

 

眠れなくて、コーチの部屋に泣きつきに行く子もいた。

私は、眠れなくても大丈夫なように、他の子よりいつも早く寝た。誰かが起きている間に眠れれば、安心だと思った。誰かに泣きつくことも、弱音を言うこともなかった。

 

私は寂しかったのだと思う。

そして苦しかったのだと思う。

本当は、誰かと悩みを共有したかったのかもしれない。弱音を言っても許させると思いたかったのかもしれない。

 

それは、26歳になった今でも私に張り付いていて、

急に息が苦しくなって、泣きたくなって、

その中をもがき続けている。