辛くて死にたくなったら
ふと人生を辞めたくなるときがある。
昔、彼に死にたいと言ったことがある。
すると彼は、俺はいつ死んでもいいと思ってる、と言っていた。
私はまだ、そんな風には思えない。
生きられるなら生きたい。
理想の自分がある。捨てられない。
だから、辛いのかもしれない。
彼は、自由だった。
何にもとらわれず、ありのままの生まれたまんまの彼で、いつも生きていた。
人に気を遣わず、歯に衣着せぬ物言いをするのがとてもシニカルで、皆んなに好かれていた。
本当は、誰よりも傷ついたことがあったのかもしれない。
だからだろうか、心の奥のところは、とても優しい穏やかで静かな春の海のような人だった。
私の人生で、彼に出会った意味はこれに気づくためだったのだろうか。
もしかしたら、彼も私と同じだったのかもしれない。
なら、私も彼のように優しくユーモアに変えることが出来る人になれるだろうか。
いや、同じようには無理かもしれない。
彼の頭の良さも、悟った視点も持ち合わせていない。
でも、私は私なりの乗り越え方を見つければ良い。
ユーモアじゃなくても、生への執着を捨てて、心の奥のところに、春の海のような穏やかさを持った人になりたい。