Premium 4月号
最果タヒさんが載っているということで、たのしみにしていたPremium 4月号が発売されていたので、勢い勇んで購入した。
パラパラとめくると、坂元裕二、野木亜希子、宮沢賢治、宇多田ヒカルに椎名林檎、最果タヒ。とにかく私の好きなものばかりがそこにはあって、とても心が躍る。私は、言葉が好きだ。ことばは、言葉だけではない何か、匂いや景色や感情や、味覚に触覚、色んなものに触れることができるから。
学生時代、とにかく現代文が苦手だった。本を読むことも苦手だった。現代文が苦手科目なのは、 本を読まないからだよと色んな人から言われた。夏目漱石、源氏物語、ムーミン、ハリーポッターに陰陽師、ミヒャエルエンデにサン・テグジュペリ。好きな本ならたくさん読んでみたけれど、現代文の点数は一向に上がらなかった。その上、好きな本は何度も読んだが、それ以外の本には見向きもしなかったので、私は本が好きなわけではないのだとずっと思っていた。
大人になってもそれは変わらず、好きな本は何度も読むけど、苦手な本は一切読まない。世の中で流行っている文庫本、東野圭吾や湊かなえ、伊坂幸太郎、などにはほとんど興味を示さない。そんなものだから、今でも本を好きと人には言いづらいし、自分でも果たして本が好きなのか甚だ疑問なのである。
そんな中で、Premium 4月号を買った。
そこには感性を刺激される言葉の数々があった。その言葉は、本と言えども、詩や漫画や絵本、更には本ではなく、ドラマや音楽などから生まれた言葉が並んでいた。
そうか、私は言葉が好きだったんだな。そう思った。言葉は、たとえワンフレーズだったとしても、その人の生き様や人柄、価値観の全てが現れる。それを言葉で説明するのは、とても難しい。寂しいと言う言葉1つをとっても、私の使う寂しいと、あなたの使う寂しいは、使う状況も感情もきっと同じではないはずなのだ。じゃあ、それはどんな時に使うの?と聞かれても、全くそれを言葉にして伝えるのは至難の業で、言葉にして説明すればするほど真実とは遠ざかっていくような気がする。
けれど、本や詩や絵本やドラマや音楽に出てくる言葉というのは、何も説明をしない。私たちの想定から、普通から少しはみ出た使われ方をするその部分にこそ感動したり共感したり、新しい世界を知る。それこそが私が言葉を好きな理由なんだと、改めて思った。