ジョバンニとねこ

繊細すぎてあまりわかってもらえない心を吐き出す場所。

夏の鮨

年上の男性から、有名店のお寿司へのお誘いを受けたばかりだったので、コンビニで夏の鮨という見出しに惹かれて、買ったことのなかったdancyuをぱらぱらとめくってみた。

実は、dancyuがどういう雑誌なのかあまり知らないのだが、お洒落な雑誌、という認識は合っているようだ。

 

雑誌には、美味しそうな寿司屋や、作法など、色々と書いてあったが、その中にエッセイがあった。

 

回らない寿司屋と言えば、若い頃は恋人でもなんでもないおじさんに連れて行ってもらうところで、鮨の薀蓄を聞いてくれる若い娘と鮨に行くのがおじさんのセレモニーみたいなものかもしれない、とあった。

 

一度、取引先のおじさんに、超高級寿司屋に連れて行ってもらったことがある。そんな寿司屋にいった経験の無い私は、楽しみな半分、随分緊張したのを覚えている。おそらく若い娘なら美味しいものであれば喜んで付いてくるだろう、と思い誘われていたのだろう。全くその通りで、私も喜んで付いていった。薀蓄を聞かされても、美味しそうだから嬉しいと思っていたが、薀蓄を聞かされることはなかった。何なら、私の話を興味を持って色々聞いてくれたので、セクハラに厳しい世の中になった最近のおじさんは、紳士的だなあと感心したぐらいである。ただ、小食な私は、あの量の鮨はキツいので、しばらく鮨はいいやと思った。

 

今回、寿司屋に連れていってくれる方は、会社でいつも助けてくれていた元上司が相手である。転職された今でも、私が大変な時に連絡をくれる。同じ会社だった当時から、仕事を辞めたいときも、婚約者と別れた時も、惚れそうになるほどの優しさで助けてくれていた。今回の彼からの誘いは、おじさんのセレモニーでは無ければ良いなと願う、夏の夜。